2019年4月16日の新料金のプランを見て、24年1ヶ月契約していたドコモ回線を解約することにしました。
その心情などについて書き残しておきます。
ドコモとの付き合い
NTTに出向していた
かなり大昔、大学を卒業して就職した私は初めて配属された職場に2年いた後の最初の人事異動で出向を命ぜられた。
出向先はNTTである。
出向先はNTTの中でも開発された新しい装置を現場にいれる導入支援をするという結構技術的な部所であり、就職して2年ほどで他社に異動してきた自分にはちょっと厳しいところだった。
そういう経緯もあり、仕事自体もそれほど熱心ではなく、プロパーのNTT社員の皆さんには相当迷惑をかけたと思う。
携帯電話に契約した
当時は、時期的にはようやく携帯電話にもデジタル回線が導入され始めた頃であり、製品名で言うと、デジタルmovaの運用が開始され、アナログのmovaも併用されていた。
その頃、NTT移動通信網(元NTTドコモ)からレンタルされていた携帯電話端末は、携帯電話端末の売り切り制度を導入したばかりで、ユーザーに販売されるようになっていた。
その時、NTT弘済会という、NTT内部の福利厚生を行っている団体から、携帯電話のあっせん販売があったのである。
これはドコモから販売されていた最新式のデジタルmovaではなく、アナログ式のmovaである。
ただ、価格が正価の7~8万円の端末が4万円弱ほどになるということだった。
販売されていた端末はNEC製のmova Nと三菱電機製のmova Dの2種だったが、購入したのは前者のmova Nであった。
そこにまだ若い新しいもの好きの私は飛びついたのである。
当時、携帯電話は基本料だけでも月に1万円程度はしていたと思う。
しかし、当時のアナログ式の携帯電話はひどいもので、最初から付属の小型のバッテリーではカタログスペックですら待受可能時間が6時間ほどであった。
この6時間というのがどういうものか今では想像が付かないと思うが、電源を入れたまま外出して2~3時間も経って電話を着信するといきなりバッテリー切れで通話できないという代物であった。
そのため、当時は秋葉原でたまたま見つけたジャンク品の大型バッテリーをいくつか買い込んで持って歩いていた。
出向から戻った
2年の出向を経て、元の職場に戻り若干昇進して係長になったわけであるが、NTTには役に立つどころか結構迷惑をかけてしまったと感じていた。
そのため、NTTに2年間いた迷惑料として、ドコモの携帯電話はしばらく契約していようと思ったのだ。
携帯電話の機能の変化
それから24年
それからほぼ2年ごとに端末を買い替えていたため、10台以上の端末は使っていたのだと思う。
- 携帯電話端末の回線がハーフレートという音声の通信帯域が半分に圧縮された聞き取りにくい時期
- 東京都の携帯電話番号が030-xxx-xxxxから090-3xxx-xxxxと1桁増やされた
- 携帯電話にメッセージ機能が付いた
- iモード機能が追加され短いながらもメールが送信できるようになった
- 携帯電話端末の表示画面がカラーになった
- 携帯電話にカメラが付くようになりメールで送れるようになった
- 第3世代携帯電話FOMAが始まり、データ通信速度が爆速になった
- スマホが発売されあまりのバッテリーがもたないためFOMAの端末と2台持ちで使っていた
- ドコモからiPhoneが発売され、Androidでいいと思っていたがせっかくなので乗り換えた
など、主に機能面の変化はほぼ経験してきた。
新規携帯電話事業者の事業開始
それと並行して、IDO、東京デジタルホン/ツーカーセルラーからボーダフォンになった後のソフトバンクなど新興の携帯電話事業者が後から後から出てきた。
後発のそれらの事業者は、新しい効率の良い設備を導入して事業を始めたおかげもあるし、ブランドとなったドコモとの競争上からも料金を安めに設定していた。
しかし、まだNTTへの義理を感じていた私はドコモの契約を継続していた。
もっともNTT側ではすっかり覚えている人もいないと思うのではあるが。
NTTの料金プランの変遷
携帯電話というからにはそもそもは単なる無線で通話ができる電話機と電話サービスのことを示していた。
しかし、iモードサービスの開始後、デジタル通信のサービスの重要性は強くなり、それなしでは考えられなくなっていった。
単なる無線による呼び出しサービスから一方通行のメッセージ通信サービスであるところのポケベルはメールが打てるようになった携帯電話にあっさり駆逐された。
当初、160km未満と160km以遠では、通話料が異なり、
160km未満は030-xxx-xxxx
160km以遠は040-xxx-xxxx
という2つの電話番号で電話をかけ、距離範囲が異なるとかけ直すようにメッセージが流れたりしていた。
しかし、その後、電話番号の不足により前者と後者は別の利用者の電話番号になり、料金も近距離側に統一された。
(それでも足りなくなり0x0という番号を使い切った挙げ句に電話番号は桁増された。)
その後、従量制であったパケット通信料金は、iモードを使っている範囲内でという条件ではあるが使い放題の定額制に変更された。
この時点ではまだ通話は完全に従量制である。
その後、Xiと名付けられた第3世代移動体通信FOMAのサービスに切り替わる時点で、なぜか月7GBという上限が設定され、怪訝な思いをしたのはまだ記憶に新しい。
さらに、新料金プランという、通話定額とパケットパックに分けて電話を使わないユーザーにも通話定額を押し付ける料金プラン、加えて個人用のパケットパックが2GBと5GBの2種類しかないという、どう考えても値上げと押し売りだろうと思わざるを得ない料金になった。
これは、通話料定額がフルのかけ放題2700円に加えて、5分間かけ放題1700円が追加される時に、基本料金としては仕方ないんだろうなと思い、料金プランを変更した。
後に、完全従量のシンプルプラン980円がウルトラデータL(20GB)の契約を前提として解禁された際にそちらに切り替えた。
2019年の新料金プラン(ギガホ、ギガライト)
今回2019年6月開始予定の料金プラン、パケット30GB制限のギガホと、段階的料金制のギガホライトの導入予告が4月15日に発表された。
これまでの料金プランは、端末の販売料金からの値引きを前提として、やや高めに設定された通話料金プランとパケット料金プランをセットとしていたため、やや高めの料金になっていた。
対応するためには、iPhoneなど高額の端末を購入して、多めの割引を受けるのがセオリーとなっていた。
今は分割払いで端末を買うのが普通
現在は、分割払いで端末を買うのが一般的と思われるが、その端末代金の分割払い負担が増えすぎないように、通信料金から月々の一定額を引く月々サポートがある。
もう少し端末が高い頃は、通信料金がほぼ定額で使うのが普通であったため、端末の分割支払代金と月々サポートが均衡する不思議な状況が発生していた。
これは、利用者はほぼ毎月同じ額をドコモに支払い、もし、端末が気に入っていれば同じ料金でそのまま使い続けることができるが、新しい端末が欲しくなれば、前の端末を購入してから2年経過すればほぼ無料で端末を受け取れる、という擬似的な感覚になっていた人が少なからずいたということを示している。
この感覚には少し問題がある
実際には利用者はローンで端末を分割払いで購入しているが、ドコモはその債務(借金)を信用機関に登録している。
ローンの支払が順調、つまり通信料金(と本人が思っている)が順調に支払われているうちは問題ないのであるが、支払いが滞った時は、債務が正常に支払いが行われない不良債権として信用機関に登録されてしまうのである。
ドコモが債務を登録している大手の信用機関は、国内のクレジットカード会社などでも同様に利用している。
そのため、クレジットカード会社側が信用機関の情報を参照してしまえば、携帯電話の料金支払が滞っている利用者がローンを払えない問題人物であるということがわかってしまう。
というわけで、通信料金の支払いが滞った時に、ドコモだけではなく国内の金融機関全般から取引が停止される事態となってしまったのだ。
以前の通信・端末料金の分離
このような事態は、端末代金の割引原資を通信料金に含んでいるために、通信料金がそもそも割高であるために起きている。
そのため、通信料金の支払いを条件とした端末代金の割引が無くなれば、通信料金はもっと安くなってもいいはずだ。
現在、所管である総務省がこのような問題視し、それを菅官房長官など首相官邸も問題意識を共有していることから、通信料金と端末代金を明確に分離して通信料金の値下げに結びつけようと明確に通信料金と端末代金の分離をする法改正を国会で行っているところである。
というわけで、通信料金の支払いを条件とした端末代金の割引は間もなく禁止される見込みなのだ。
今回のドコモの新料金プランの発表はこのような流れから行われている。
以前の通信・端末料金の支払いスタイル
実は、現在のような端末販売形式になる以前はもう少し違うスタイルだった。
ドコモを始めとする通信事業者は、系列のショップや販売店に販売数に応じた多額の販売奨励金を渡していた。
利用者は、ショップや販売店で大幅な値引きされた端末を購入するのが普通だったのだ。
当時は今でいうところのガラケーが一般的であり、数万円程度だったので、販売奨励金から数万円引けば普通の人はいつでも十分買える程度の価格になっていたのだ。
当時は、購入といいながら端末代金を支払わない0円ケータイや、場合によっては端末を買ったはずなのにキャッシュバックを受ける場合ですらあった。
その頃は、まだ端末の指定の通信事業者のSIMしか使えないSIMロックがかかったまま販売され利用されるのが普通だったので、ただ同然で購入した端末を他の通信事業者で契約することはできなかったので、それでも大きな問題は起きなかった。
むしろ、ただ同然で端末を入手することを目的とした利用者のおかげで、各通信事業者のユーザーがどんどん増えたのである。
しかし、販売といいながら無料というのはさすがに不健全だろうと10年以上前の2007年にも総務省で同じような議論が行われた結果、通信事業者が過度な端末の販売奨励金を出すことが規制されるようになったのだ。
その結果、携帯端末の値段が全体的に値上がりしたため、端末がさっぱり売れなくなり、通信事業者、ショップなど販売店、通信メーカーが大不況に陥った。
それに対応するため、通信事業者は、端末を分割払いで販売し、端末代金の支払い中は通信料金を値引きするという方式に変更した。
そのような経緯を経て、現在のような状況になったのである。
一括払いで購入すると割引を受けないと損をする気持ちに
しかし、私は分割払いで端末を購入するのは気持ち悪いので、一括払いで購入し、通信料金だけは割り引かれているような状況がずっと続いていた。
そうすると、通信料金は一見するとかなり安く感じられるのだ。
一方で、通信料金の割引が終わってしまうと通信料金を丸々払わなくてはならない。
それは損をしたような気がする。
最近では、通信料金の値引きを受けるために次の端末を購入するという、目的と手段が逆転したような状況になっていた。
今回発表のドコモ新料金プラン(2019年)
そこで今回のドコモの新料金プランの発表である。
今回の料金の目的は、通信契約を条件とした値引きの禁止と言われている。
通信事業者から見ると、値引きが禁止された以上、それで浮いた原資は少なからず通信料金を下げる方向に圧力がかかっているのだ。
個人的には、今受けている端末の値引き分位の値下げをしてくれたらいいなあという希望があった。
料金の引き下げ
料金は全体的に下がった。
ギガホは擬似的な使い放題である。
30GBまで基本料金とSPモード相当を含んでいて料金は5980円である。
もう一方の従量制プランはギガライトである。
- 1GBまで2980円
- 3GBまで3980円
- 5GBまで4980円
- 7GBまで5980円
さらに家族内を同一グループに2回線したら各回線が500円引き、3回線以上なら1000円引きである。
加えて、ドコモ光をセットにすると各回線がさらに割り引かれる。
3GB以上使用すると1000円引きである。
これは一見異常なまでの値引きに見える。
例えば、これまでは
30GBのウルトラデータLLパックは8000円
通信基本料であるシンプルプラン980円
SPモード300円
をセットすると合計9280円だったものが、ギガホでは5980円と3300円も安くなっている。
ギガライトも3~5GBの使用で3人以上のグループでドコモ光を併用すると3280円。1GBも使わないライトユーザーでも2280円である。
これは売上の最大化の結果
これは、経済学でいうところの売上の最大化を図った結果と言える。
例えば、スポーツクラブなどの料金を考えてみる。
- 学生
- 若者
- 女性
- 高齢者
などそれぞれ割引料金が設定されている。
平日日中など閑散時にはまた別な割引があるが、今回の話とは少し違うので省略する。
それらのカテゴリーに入らないサラリーマン男性などは一番高い定価料金である
つまり、支払能力が高い人からは高めの料金を受け取り、支払能力が低くなるにつれて安い料金にすれば、誰でも加入することができ、それぞれ支払能力にあった料金を受け取れるのである。
今回でいうと、リテラシーが低く自宅にいることが多いため通信量が少ない高齢者や主婦層は支払能力も利用欲求も低めである。
さらに、複数人世帯は世帯主が通信料金を含めた支払いをしていることも多いだろうし、支払能力の低い学生もここに含まれる。
加えて、世帯でグループになってドコモに加入するようになれば、多少割り引いたとしてもトータルの料金は高額になるのである。
ヘビーユーザーもお得意様
次に元々ウルトラデータプランLLの30GBを契約している人は情報強者であるお得意様である。
ここは割安感を出して是非囲い込みたい。
逆に言えば、ほどほど使ってほどほど料金を支払う元々バランス感覚がいい層は、
- 少しパケット消費を抑える
- ガンガン使う
ことにすればどちらにしろかなり得になる。
見事な戦略である。
中間のパケット利用量プランの欠如
ところがよく見ると、パケット利用量の中間がごっそり穴が空いていることがわかる。
簡単に言うと、パケット消費量5GB~30GBまでの料金は全て5980円なのである。嗚呼。
例えば、これまで単独契約で20GBのウルトラデータプランLの6000円を契約していた人は、
6000円とシンプルプラン980円とSPモード300円で合計7280円となる。
これが5980円になると1300円安くなっている。素敵だ。
各種割引の加味
しかし、さらに各種割引を考慮すると少々変わる。
現在は、ずっとドコモ割という契約を継続している期間で割引がある。
ドコモdポイントクラブは15年以上契約すると自動的最上位のプラチナステージになり、ウルトラデータLパック(20GB)では800円引きとなる。
さらにドコモ光セット割は、現在、ウルトラデータLパックを契約していると1400円引きとなる。
両方合算して計2200円の割引である。
これが新プランでは、前者の長期契約対応は1年で3000ポイントを誕生月に配布、後者のドコモ光セット割はギガホの場合1000円引きとなる。
3000ポイントは1ヶ月あたり250ポイントなので、合計1250円分の割引である。
現在、ウルトラデータLパックとドコモ光を使っている人は
7280円-2200円=5280円
の負担で、新料金プランの場合は、
5980円-1250円=4730円
の負担となる。
550円の値下げだ。
まだ、かろうじて値下げになっている。
月々サポートの加味
私は現在、iPhone8の64GBタイプを使用しており、2376円で24ヶ月の月々サポートを受けている。
ドコモでは、なんらかの端末の値引きは用意したいが料金プランで値下げしているので、かなり値引きは少なくなるだろうと述べている。
ということはここまでの割引を受けられる可能性は相当低いだろう。
例えこれから導入される端末割引が1000円で24ヶ月も引いてくれたら合計24000円である。
ここまでもなかなか期待できないと思われる。
当然ではあるが、高価な端末の方が利用者の負担が大きいので割引が多めとなっているので、安価な端末まで全体にそのレベルの値引きをするのは難しいだろう。
そういうわけで、個人的には月々サポートを終了後にギガホに切り替えると、現在20GBのパケットパックが30GBまで使用できるようになる代わりに1000~1500円ほどの値上げになることが想定される。
実をいうと、現在は毎月6GB少々のパケットを消費していることから、30GBは全然必要ないので7GBか10GB位の値ごろなパックを用意して欲しいところなのだが、実際の新料金プランでもギガライトでは5GBを超えるとギガホと料金的には同じになる。
つまり、現在程度の料金を維持したければパケット消費量を減らして月5GB未満の消費に抑える必要がある。
踏んだり蹴ったりで、全くやれやれである。
MNPで楽天モバイルにすることにしました
現在使用しているiPhone8はそれ以前のiPhoneに比較すると電池のもちがいいので気に入っている。
iPhoneの新機種が発売されるごとに価格が高騰していることもあり、買い換えないで料金が安くなるのであれば、使い続ける期間は2年といわず、さらにあと1~2年程度は使い続けたいと思っている。
MNPでMVOに行くよ…
結論としては、すっかりドコモに愛想が尽きたので、24年間の契約でNTTグループへの恩は返したということでもう通信事業者を変更してMVNOにすることにした。
具体的には、楽天の各種サービスを使いまくっているので楽天モバイルである。
実をいうと既にドコモショップに行ってMNPの手続きをしてきて、さらに楽天モバイルの申し込み手続きは終わって新しいSIMが届くのを待つばかりである。
プランはスーパーホーダイのプランS
10分以内通話し放題
2GBまでのパケットパック
(使い切った後も1mbpsでの通信が可能)
というのが売りである。
料金は、楽天ポイントクラブの会員ランクが最上位のダイヤモンドだと最初の1年間は980円となっている。
ちなみに2年目は1480円、3年目は2980円と上がっていくが、1年目が安いのと楽天市場のポイントが常時2%アップとなるのでトータルでは問題ないレベルだと思う。
3年の契約満了後は普通の従量会員プランにするかそのままスーパーホーダイにするかはまた考えようと思う。
ドコモ光は継続
光インターネットサービスであるところのドコモ光はそのまま継続である。
色々調べたが、回線の提供元がNTTであれば他社でも大した差はないのと、NTTグループへの義理の延長という意味も多少はある。
24年間ありがとうございました。